夕焼けと友人 |
ID:173714きーち |
夕焼けに照らされた帰り道。僕は時々、一番家に早く帰れる道ではなく、少し遠回りをして帰ることがあった。別に何か目的があった訳ではないのだけれど、昔、中学生になる前は、ずっとその道を通って帰っていたからだ。いつも一緒に帰る友人もいた。今はもう殆ど会うこともないその友人との記憶を思い出したくて、僕はわざわざ遠回りをしているのかもしれない。 そんな友人との思い出で一番記憶に残っているのは、やはりこの道での出来事だった。夕焼けで赤く光る帰り道、この先にある四ツ路の分かれ道で、僕は忘れられぬ体験をしたことを思い出していた。 |
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夏の一幕 |
ID:238799rakia |
同級生から近くの廃墟に行かないかと誘われた。 最初は気乗りしなかったが、しぶしぶ付き合う事にした。 肝試しって程のものじゃないと思う。何故なら行くのはただの民家跡だし、それに太陽が燦燦と輝く、真昼間に行くのだ。 特に幽霊やら、何やらが出るなんて聞いた事も無い場所である。 もう直ぐ夏休みなのだから、それまで待てば良いのにも関わらず、せっかくの休日にそんな所に出掛けようというのだから、物好きもここに極まれりだ。 とりあえず俺は、玄関で靴紐をきつめに結んでから玄関を後にした。 外は、眼が眩むぐらいの日差しで満ちていた。 |
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死神弥平 |
ID:190475AFD |
心臓外科医の片平祐一は幼少時に白装束を着た老人に命を助けられるが、その刹那、老人は霞のように消えてしまった。その不思議な体験をした場所へ今回引っ越すこととなったが、引越し後間もなく、一人の少年が患者として診察室のドアを叩いた。その少年をあの世に送ろうとしている死神がいることがわかったが、その死神が自分の命を助けた老人であったことを知る。その老人は自らを「弥平」と名乗り、少年か自分をあの世に連れて行くという。 |
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シミが、そこに、ある。 |
ID:23418菜宮 雪 |
明日に法事を控えた杉谷家。親戚の訪問に備えてそうじに励んでいる主婦、泉が必死になってきれいにしようとしているのは仏間の畳。その場所には、数えきれないほどの小さなシミができている。大きさも形も様々で、雑然と散らばるシミたち。 「何をこぼしたのかしら?」 そんな泉の姿を、息子の義之は静かに見守っている。 畳にできている影は、木漏れ日が作る不規則な模様のいたずらだ。そこには絶対にシミなどない……はずなのだが。 現代日本が舞台。ほんの少しだけ、涼しい世界をお楽しみいただけたらと思います。 |
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音楽室の仕掛け |
ID:12053あゆみかん熟もも |
『音楽室の仕掛け(仮)』 ホラー/コメディ 予定 我がハイドロポンプ校には、幾つかの噂や言い伝えがある。300年位昔にここで合戦があって武者の幽霊が現れるとか、兎が食中毒を起こしたとかで、兎を飼うと祟られるとか。嘘かマコトか判らない話が、結構存在している。紺野真純、中学生。夏休みに吹奏楽の部活で、高校生と合同練習をする為、高等部へ。練習が終わった帰りに、古い楽譜を見つけたけれど? ◇軽ノリで書こうと思いますので、宜しくお願いします。 |
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この話を読むと、呪われます |
ID:34969百(難しい童話) |
「この話を読むと、呪われます」 これは、警告だ。少しでも呪われたくはないと思ったなら、この話は読まない事をお勧めする。ただし、もし君がこの話を読むことで、この”呪い”を共有してくれるのだとすれば、僕はその君の勇気に感謝をしたい。 これはある悲しい運命を辿った女性に関する呪いの話だ…。この呪いが何を意味するのかは、正直、僕にも分からない。ただ、それでもこれを読めば確実にこの呪いは君の中に息づく事になる… どうして彼女がそんな運命を辿らなければならなかったのか、それを防ぐためにはどうすればいいのか、或いはその事が、彼女の呪いの本質かもしれない。 |
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逃れ得ぬ青 |
ID:153151黒木京也 |
夏風邪に苦しみ、朦朧とする意識の中から“僕”は目覚めた。彼女が看病してくれていなかったら、僕は今頃死んでいたかもしれない。 熱でボーッとする頭を自覚しながら台所に立つ彼女を見つめる僕。「酷く魘されていた。」と、少し心配した表情の彼女に、僕は最近体験した悪夢と言っても差し支えないある恐怖体験を語る。 僕の日常を壊した、あの忌まわしくも恐ろしい出来事を… 黒椋鳥と申します。こういった企画に参加するのは初めてです。拙い文ですが、どうぞよろしくお願いいたします。 |
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乃愛と方舟 |
ID:258401ふえはら |
八月一日。俺の元に、五歳の妹・乃愛がやってきた。 「お兄ちゃん、おふねつくって!」 その次の日。俺の元に、六歳の妹・乃愛がやってきた。 「お兄ちゃん、おふねつくって!」 そして、八月十三日の朝。俺の元に、俺と同い年――十七歳の妹・乃愛がやってきた。 「お兄ちゃん、お船作ってよ」 そう言って乃愛は、無邪気に笑う。 なぁ乃愛、何だってそんなに船を欲しがるんだ? もうお兄ちゃん疲れたよ。 そもそもお前、何で俺の目の前にいるんだ? お前は、五年前に死んだはずなのに。 「ねぇ、早く折ってよ。昔みたいにさ」 俺は今日も、折り紙で船を折り続ける。 |
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噂が噂で終わるとき |
ID:99616ヨイヤサ・リングマスター |
怪奇現象を信じるか信じないかは人それぞれ。 それでも結局、恐ろしいのは人の心。 生きていようと、死んでいようと、人が人としての心を持っているから怖いと思うのです。 幽霊が怖いというのは、人が怖いということと同じだと思います。 今回私が書いた物語は、愛されなかった少女が愛を求めるお話です。 この物語をハッピーエンドと思うか、それともバッドエンドと思うかは読者の心にお任せします。 幸せの形が必ずしも、そのどちらかに二分化されるものではないように、この物語は読者の心にどう思うかを問う物語です |
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百語り |
ID:255613BloodyBishop |
「……さん…かあさん……」 私はウトウトしていたらしい。 声がどんどん大きくなりハッキリと聞こえた。 「お母さん!」 声のする方を見た時、その子が言った。 「始めまして」 心の中では既に覚悟を決めていた。 (もういい、私を貴方に捧げよう……) 午前二時。 ここは大きな医療法人の介護施設。 当直は二人で、仮眠を取りながらやってはいるが、さすがに一癖以上有る老人達を相手にした後、大きな施設内を巡回するのは辛い。 夜中の2時だと言うのに、寝付けないで歌い出す人や、廊下を俳諧する人が絶えない。 休憩の1時間に仮眠を取るのが義務付けされているのだが、うとうとするとすぐ呼び出され、休憩どころでは無い。 しかし、それも慣れっこで、夜中に私をご指名頂く利用者が居る程、もう何年もこの施設で働いている。 医療短大卒業後、早7年。 恋人も出来たが、休みの日は疲れてしまい寝ている事が多く、学生時代の彼と別れてから5年になる。 魅力が無い訳でも無いのか、80代のお爺ちゃん達には人気が有り、私の気にしている大きなお尻を、何人か触って来るが、同年代の男には出会いも無いので、最近は触って貰えない。 |
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