夏のホラー2012

参加作品一覧

参加作品を提出された順に掲載しています。
参加作品数:95作品
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トイレの……
ID:255093下総みずき
私の両手は汚れている。
ぬぐっても、ぬぐっても落ちないそれは過去の幻か、それとも未来の幻想か。
私は「彼」に囚われた。逃げも隠れもできないならば……
家電量販店のトイレは、薄いもやに阻まれた、異なる次元が重なり合うところ。
次元を超えて、私を引き寄せるものは……

次元の狭間で争う声が聞こえますか?あちらから手を伸ばしてくるものは嘘かまことか。知っているのは、傷だらけの心を抱えた彼女だけ。
いや、彼女と「彼」だけ。
面白い:2 怖い:3 小説情報
神社の裏には
ID:97520kanaria
俺の住んでいる村にはある言い伝えがある。
それは神社の裏の祠には絶対に近づくなというものだった。
これを破って同じ大学のサークルメンバーと共にある神社へ行くと、想像も絶する体験が俺たちに襲いかかってきた。
もう肝試しとか言っている場合じゃない。
祠から延びる無数の手に白く半透明な女たち。
俺たちはいったいどうなる?
生きて戻れるのか。

とりあえず経験した俺が言える事は言い伝えや伝承は破るもんじゃない。
ただ、それだけだ。
面白い:2 怖い:5 小説情報
手毬屋敷
ID:26597里芽
『私』は道中、一人の男と出会った。今時珍しい、着物姿の男だった。喉が渇いたという男に飲み物をやり、別れた『私』は直後、不思議な場所へと迷い込む。
明らかに人の世ではないその場所にあった、一軒の家。
なく烏、からから回る風車、井戸……。

そこで『私』は一人の妖しく美しい女と出会う。異界に住むその女はきっと人では無いのだろう。彼女を取り囲むようにして転がっている、無数の模様も色も様々な鞠。まさに、鞠屋敷。
その屋敷に泊めて貰うことになった『私』はその夜夢を見る……。
面白い:6 怖い:3 小説情報
垣間見
ID:179229間宮 榛
 高校二年生、お盆の夜。
 祖母宅の一室で寝ていた俺は、ふっと、潜水から急浮上したかのように目が覚めた。
 理由が分からず、もう一度寝ようと何気なく目をやったふすま。細く開かれたそこから洩れ出る光は、温かなオレンジ色。ちろちろと蝋燭の炎のようにちらついては、時折誰かが通ったかのように影で遮られる。
 あそこは押し入れで、どこにも光はなかったはずだ。
 不思議に思いながらも音をたてないように近寄って、そっと中を覗きこむ。――それが、始まりだった。
面白い:11 怖い:4 小説情報
追越し禁止
ID:250498塚本亮悟
それは茹だるような暑さが続く夏の日のこと。

あなたは自転車をこいで家路へと急いでいます。早くクーラーの効いた自分の家に戻りたい。それはそうでしょう。誰もが同じことを考えている中であなたがそう思っているとしても罰は当たらないでしょう。

でも、あなたはそんな折に近道をしようとします。

一刻も早く家に帰りたい。照り返す熱気にぼーっとしている頭に浮かぶのはそんな甘い考えです。それが悪いとは言いません。誰しもがあなたと同じ立場だったら十中八九同じことを考えるでしょう。

ただ、あなたは思い出すべきです。あなたが選ぶルートにこれからどんなことが待ち構えているのかを…。
面白い:5 怖い:6 小説情報
それは本当に怪談ですか?
ID:199278くりゅー
『陰蛙』『瓢鬼兎様』『桂僧』『陰蛙様』『陰輪地蔵』『天喰』
これらの怪談を聞いたことがありますでしょうか?
妖怪『空亡』に纏わる怪談でございます。
この怪談は多分、ネットにはほとんど流出してません。
聞いたことのある人は、中には読んでしまうと家族レベルで後々面倒になるかもしれません。
そういうことについては各自で知っていると思いますので各々に任せます。

この物語はインターネットが普及し、手軽に情報が得られる現代において怪談の“意味”しらない現代人に送るメッセージでございます。
面白い:10 怖い:25 小説情報
七月の終わりに
ID:187349knight
 七月も終わりに差し掛かった頃の蒸し暑い夜、扇風機のスイッチを入れた。何か生暖か風が、身体を通り抜けて行く。
 まるで倒れ込むようにシングルのソファーベッドに身を投げて、いつしか深い眠りに落ちていく。

 ん? なんだ? この懐かしい雰囲気は?
気が付けば、幼い頃に育った古い長屋の前に居た。前は山があり、長屋の裏には小さなドブ川が流れている。だが、ここって土地開発ですっかり様変わりしたはずじゃ?
 不思議に思いながら辺りを見渡していると、後ろから声が聞こえた。
「待っていたよ……」
 これは、幼稚園生だった頃に見た夢。あいつ等が、今頃どうして?
面白い:9 怖い:9 小説情報
ずっと一緒
ID:117587小伏史央
 私とミキはずっと一緒。それだけ。たまにおばあさんを蹴り倒したりお金を奪ったり、眼鏡のよく似合う島田さんとおしゃべりをするけれど、私とミキはずっと一緒。それは受験生になっても同じ。夏休みでも自習をしに学校に来て、英語のプリントを一緒にやって、それでたまに島田さんの笑顔を見る。先生がかんかんに怒っても、警察の音がしても。屋上の柵に手をかけても。私とミキはずっと一緒。ずっと一緒。ただそれだけ。なんなの。
面白い:11 怖い:9 小説情報
夢の中の少女
ID:199839衣桜 ふゆ
水城 神楽(みずき かぐら)は、正夢を視る。
言い換えると、神楽の見た夢がすべて現実になる、ということだ。

暗闇の中。
自分に手がまとわりつく。
気が狂いそうになるほどの、たくさんの、一人の声。

――ねぇ、
――ねぇ、その目
――その目、いいな
――未来を見れる目
――それが私にあれば、死ななかったのに…
――あなたばっかり
――私は死んじゃったのに
――どうしてあなたは生きてるの?
――どうしてよ
――どうして私ばっかり死んでるのよ
――そうだ、その目

―――私に、ちょうだいよ―――

五歳離れた姉、神音(かのん)。
彼女は、神楽の目をほしがって、夢に現れるようになる。
その夢を見た日から、神楽に不可解な出来事が降りかかるようになった。
神楽は忘れていた。
神楽が視る夢は、

すべて、正夢になることを。

――あぁ、目だけじゃないわ。
――その体、その顔、あなたのすべてを―――

「私に、ちょうだい?可愛い弟、神楽―――」
面白い:15 怖い:13 小説情報
匣の中
ID:81727蒼目ハク
――深夜。とあるマンションの一室で、俺は女を殺した。血塗れの白いTシャツを黒いパーカーで隠し、フードを目深に被って部屋を後にする。
エレベーターに乗って15階から1階に向かっている途中、中年の男が乗り込んで来た。顔を見られたくない俺は、早く1階に着けと念じるのだが、思いとは裏腹にエレベーターは急停止してしまう。
すぐに非常ボタンを押すものの、スピーカーからは何の応答もなく、誰も来ない。扉を蹴ったり大声を上げたりしてみても無反応。
空調も止まって息苦しく感じる中、それまで沈黙していた中年男が話し掛けてきた。

苛々を増幅させる男との会話。ついには殺人者であることを感づかれそうになり、焦った俺は、目撃者であるこの男を殺す決意をするのだが……。
面白い:24 怖い:31 小説情報
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