夏のホラー2012

参加作品一覧

参加作品を提出された順に掲載しています。
参加作品数:95作品
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パン工場の工場長
ID:169010桐原草
 いらっしゃいませ。こんなへんぴな場所にあるパン屋までようこそおいでくださいました。
 何をご所望で? ああ、あんこの入ったパンは近頃有名になりましたからねえ。なんでも江戸が発祥の地だとか。ぼたもちとはまた違う趣にございます。
 ええ、置いてございますよ。そちらでございます。

 え、珍しいあんパン、ですか……? 一度に一個しか作れないあんパンのことをどこかでお聞きになったんですね。申し訳ございません。あれはいつ出来るかわからないんですよ。なんせあんこが特別製でいつ手に入るかわからないと来ている。
 ええ、もしもできましたら、そのときはお声を掛けさせていただきますよ。お客さんのようなおきれいな方に食べていただけるなら、こちらも作りがいがあるってもんだ。あんが手に入り次第作らせていただきますよ。
 気をつけてお帰りになってくださいまし。もう暗くなってきましたからね。またお越しください。
面白い:9 怖い:7 小説情報
傍にいる
ID:124952人参天国
「幽霊なんて説明できないモノ、いるわけがない」
「非科学的だ」

そんな事を言う人達に聞いてみたい。

「なら、この世の全てが科学で説明できているのか?」
「僕の隣に存在するコイツはどう説明できるんだ?」

……まあ、そんな事をわざわざ議論するつもりはないけどね。別に誰かに知ってもらいたいわけでも、共感してほしいわけでもない。僕は誰も知らない真実を一つだけ知っている。ただ、それだけの話だ。
そう、これは単なるモノローグ。

『幼い時から幽霊と共に生きてきた僕は、こんな結末を迎えた』

ただ、それだけの話なんだ。
面白い:6 怖い:6 小説情報
エレベーター
ID:236602丸屋嗣也
夏にはきっと、魔が棲んでいて、きっと我々のことを陰の向こうから窺っている。まるで、手負いの獲物を追う獣のように息をひそめて。
だから、わたしは夏が嫌いだ。ふとしたとき、たとえば木の陰とか、建物の作り出した長い影の奥に視線を感じることがある。そして、その何者かの視線が、いつかわたしをどこかとてつもない暗がりへと誘うのではないか、そう思えてならないのだ。
しかし、一方で、わたしはこの闇に惹かれている。
深い陰の奥に何が棲み、どんな世界が広がっているのだろう? ずっとわたしはそんな興味に蝕まれている。
面白い:7 怖い:7 小説情報
見えないからこそ
ID:157016榎木ユウ
 大学のサークル活動で催された夏合宿。湖畔での夜。定番の怪談話。
 幽霊やお化けなんて見えないものを、何で怖がるんだか……
 冷めた目で仲間たちを見ていた榊だったが、自分も怪談を強要され、渋々ながらに体験談を語り始める。

 見えないものを、怖がる必要があるのか?

 怖いと感じるか、怖くないと感じるか、そんなことは本人の感覚にしかすぎない……そんな男が語るのは、幽霊も化け物も姿を現さない。
 ただ、感じることは出来る奇妙な出来事の話。
面白い:9 怖い:5 小説情報
ID:145336秋月白兎
戦国時代の血生臭い言い伝えが残る「目抜き峠」。
かつては走り屋たちが集まり、腕を競っていた有名スポットだったが、今は爆音も稀にしか聞こえない。
走り屋に事故は付き物だが、その負傷者・死者が皆一様に同じ傷を負っていたらどうだろう?

憶測は噂を呼び、噂は更なる噂を呼ぶ。

無責任な連鎖は走り屋達を遠ざけ、結果として事故とそれによる犠牲者を激減させた。

だがしかし、決してゼロになった訳では無い。
いつの時代、どの世代にも己の実力に自信を持つが故に噂を意に介さない者がいる。

今夜もまた一人……
面白い:33 怖い:36 小説情報
友を引く夜
ID:31058加上鈴子
小学生の時に転校していった友達が、いつから消息不明になったのか記憶にない。ないなぁと気づいたのは、お土産に貰った栗きんとんを彼女が好きだったと思いだしたためだ。もう高校生だ、会っても互いに見分けられないだろうな、などと思ったものだった。消息不明だなんて大層なものじゃないのかも知れない。うちの引っ越しで住所を送りそこねてしまい年賀状が途絶えた、それだけのことだ。ふと思いだしてしまったがために夢に見てしまった、それだけのことだ。それだけの。
面白い:7 怖い:5 小説情報
どどめ色
ID:232148子藤貝
どどめ色というものをご存知か?
人によっていろいろな色の解釈をされる
不思議な色だ。地方や個人によって
様々な意見をもつ、多数の顔を持つ色。
さて、私の最も嫌いな色がこれである。
まるで付和雷同が如く定まらず、
色でありながら美しい表現はあまりされない。
場合によっては汚らしく表現される
ことも多々ある。
はっきりしないことが、私は嫌いだ。
だからこそ嫌悪するのだが・・・。
それ以上に、嫌いな理由がある。
とある日に経験した、不可思議にして珍妙、
人が聞けば恐怖を覚える、身の毛もよだつ
私の経験談を、お話しよう。
面白い:6 怖い:6 小説情報
神様のポスト
ID:74613大空東風
これは子供の頃の体験で、ホラーっていうほどの怖さはあんまり感じないかもしれない。

ただ、思い返しても不可解で、どう合理的に考えていいのかわからない。

それは子供だった俺たちの夏休みに起きた。
みんな、遊びたかっただけなんだ。
新しい場所を見つけて浮かれていただけなんだ。

だから、あんな結果になるなんて微塵も考えやしなかったんだ。
だから、何が起きたのかわからなかった。

大人になった今でもわからない。
確かなのは、俺が住んでいた町にあった小さな神社と赤いポスト。
それに、箱形の神輿を担ぐ、町の祭りの記憶・・・
面白い:6 怖い:6 小説情報
「学園怪談記録ノート」より『呪いの席』
ID:219791亜莉守
ぼくは名もない学園の文芸部に所属している只の文芸部員だ。

いきなりで申し訳ないのだがぼくの学園には「学園怪談」がある。ちょっとほほえましいのから本当に危ないのまで、それを僕はノートに集めることにした。これはぼくの実体験に基づいている。
これを読むいつかの後輩の君たちが「学園怪談」と鉢合わせないことを祈るよ。本当に出会ってはいけないのだからね。


これは、軽い気持ちで関わってはいけない怪談のプロローグ前にあった物語。
面白い:6 怖い:4 小説情報
その街角
ID:136408宮本あおば
 ロスアンジェルスには、美味いタコスやブリトーを売るトラックの屋台が沢山ある。夜半にそんな屋台の一つを剛が訪れると、営業中のはずの店に誰もいなかった。首を傾げているところへやって来た男は、パニック状態になりつつ、無人の屋台を見た者にはとんだ災厄が降りかかると告げて、車で走り去る。
 すぐに聞こえた衝突音に慄いた剛は車に戻るが、エンジンが掛からず、携帯も使えない。災厄が自分にもやって来たのを感じつつ、路上で助けを求める剛の前方に、リカーショップの灯が見えた。
面白い:7 怖い:6 小説情報
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